椅子の歴史
日本人は床に座る文化の中で長い間生活でしたので、椅子とはあまり深い関係がありませんでした。
しかし、欧米などでは生活に密着し、椅子はその家の社会的な地位や、教養を表す家宝的な存在として、また愛着をもって代々引き継がれてきました。また西洋ではしばじは権威の象徴として見られてきました。
その名残が「チェアマン」と呼ばれ、組織のトップに座る人をこのように呼ぶようになりました。ちなみに日本で椅子文化が普及するようになったのは、明治維新以降であり、日本人と椅子の関係は130年程度です。
それでは、少し椅子の歴史をさかのぼってみましょう。 |
古代
紀元前3000年ごろのエジプト、第一王朝頃にはすでに外観も機能も現在のものと大差ない、椅子の原型のようなものが使われていました。
王権を誇示するにふさわしい、金箔や豪華な彫刻が施された椅子、そのほかにもさまざまな宮殿用の椅子や白塗りのスツールなどがあり、持ち運びできる折りたたみ椅子も発掘されています。
その後、第二王朝の頃になると腰掛けが発達し、背もたれがついたものが出現しました。 現在、存在する最古の椅子としては第四王朝の王妃、ヘテプヘレスの椅子があり、これには肘掛も付いています。
ギリシャ・ローマ時代には、木製以外に青銅・鉄・大理石製のものも作られます。紀元前6世紀頃のギリシャの家具は、同時代のエジプトやペルシャの家具と同様に、厳格に直角で構成されていました。 しかし、紀元前5世紀に入るとともに、パルテノンの美術に代表されるギリシャ的な雰囲気から西洋精神が解き放たれ、家具にも新しい感覚の形態が表れてきます。
それが曲線の表現でもありました。美しい曲線脚を持つ女性用のクリスモスが有名です。
中世〜近代
ビザンチン・ゴシックの時代には教会建築と深く関連して、直線的で素朴な椅子が多く作られます。硬く、冷たく、腰掛けることは出来ても、座って寛ぐものではありません。
やがてルネッサンスが花開くと、ローマ時代を基調とした装飾がさかんになり、背や座面をビロードなどで張り、座り心地も改良されてきます。
18世紀ロココの時代になって、ようやく体を包み込むような曲線をもち背や座面に詰め物をした座り心地の良い椅子が登場します。
近代〜現代
フランス革命によって権威と切り離された椅子は、様式美から機能美へと移り変わっていきます。 新しい技術や新素材が開発され、手工芸の復興を目指したアーツ・アンド・クラフツ運動や、有機的な曲線を持つ様式を生み出したアールヌーボーなど、その後のデザインに大きな影響をもたらすさまざまな運動が各地で盛んになります。 腰を休めるものから空間を造りだす“デザイン”へ。優れた名作が次々と生み出されていきます。
次に椅子の素材の知識も学んで見ましょう。素材の知識「椅子の主要素材」
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